闇より深き漆黒の魔法少女(中身オッサン)ブログ

脱法魔法少女が色々なモノを魔改造して行くBlog.

自粛要請による在宅テレビ出演

自粛要請中の今、テレビを観ていると(Tverなどネット配信しか観ないが)
放送事故レベルの音声遅延、ハウリングや回線切断の頻発が面白い。
中にはテレビ局の別室から出演しているのに音声が途切れたり、
特に音声遅延が問題でやりにくそうですね。

従来のPSTN(アナログ電話/回線交換方式)では1対1で通信路を確保する
贅沢な仕様だったと言えますが、現在は固定回線もディジタル網に収容され
VoIP(Voice Over Internet Protocol)に類した細切れパケット単位の通信で、
更にエラー訂正などの冗長性を持たせると、どうしても遅延は免れない。

地上ディジタルに移行したテレビも時報が正確に送出できなくなり廃止。
こう見ると決してディジタルが万能ではなさそうです。
占有帯域や高画質・高音質は狙えても遅延問題は残ります。

回線交換方式の携帯電話(3G)でも音声のデジタル化と圧縮・展開と
A/D-CODEC-D/Aと音声処理を行うだけで数ミリ秒の遅延は発生します。
4G(LTE)を使ったVOLTEでもパケット方式なので遅延は避けられません。
更にVOLTEは細かい規格が存在せず、通信事業により仕様が異なります。
従って、他社間通話だとVOLTE対応端末でもVOLTEは使用されません。

ドコモの衛星電話ワイドスターなど赤道上空35,786kmにある静止衛星との
通信だと往復遅延だけでも大きな遅延が生じます。

簡単に計算すると片道約36,000km、往復約72,000km、光速約30,000km/秒
なので、概ね0.24秒の伝送遅延となります。これに衛星側トランスポンダ
での信号処理や通常の携帯電話と同様にパケット方式による遅延を加えると
1秒前後の遅延となり非常に話しにくい代物となります。
旧衛星のNスターで経験済み。いっそトランシーバと同様の短信方式で
「どうぞ」の方が話しやすい気もします。

高速・低遅延を謳う5G技術も本格運用は怪しいですし、伝送遅延を減らす
技術を考えてみたところ、こればかりは正直難しい。
従来の回線交換方式の優秀さを改めて再認識させられました。

 

昔の技術者は良くやったと思うことがあります。
テレビがディジタル化する際、大きな買い替え需要が起きました。
3Dメガネ付きなどもあったけど、結局コンテンツが何もないっていうね。w

テレビ放送が開始された当時はモノクロ放送でした。
カラーテレビ登場以前にテレビ放送自体がカラーではありませんでした。
その後、如何にフリッカー(チラツキ)を回避し綺麗なカラー映像を伝送するか
様々な方式が開発され規格の策定が行われました。

この時、従来のモノクロテレビはそのままに影響を与えることなく、
どの様にカラー信号を重畳するかを考えて実用化に至りました。
具体的にはチャネルあたり6MHzの限られた帯域の中、モノクロ放送の
映像中心周波数から少し離れたところにサブキャリア(副搬送波)を発射し、
ここにカラー信号を乗せることにしました。当時、テレビは一財産だったので
「カラー化するので買い替えてくれ」なんて絶対に許されなかったのです。

金のある家はカラーテレビの購入と同時にカラー対応アンテナに交換しました。
テレビを受信するのにカラー対応アンテナなんてのはなく、八木アンテナ
エレメントがカラフルに塗装されたものがカラー対応アンテナでした。
どういう意味かと言うと「家にはカラーテレビがあるんだぞ」という見栄です。

アナログからディジタルでは方式が全く違うとは言え、いとも簡単に買い替え
となりました。昔の技術者は頑張ったのに随分簡単に捨てちゃうんだなと
少し残念な想いがしました。現在の地デジもチャネル幅は6MHzで変わりません。